原発絶対反対 －１
原発絶対反対 －１
九州電力の川内原子力発電所２基がある。
原発建設に際し原発側からは、装置は３重４重の安全装置
に守られ、絶対安全であり、
可能性はゼロであると強調・保証されてきた。
が、実際には大事には至らぬものの、大小の事故続きで
あったらしい。
原子力に対する恐れや危惧の念は、広島長崎を経験した
日本人なら、誰しも肌に染みついた感覚として共有して
いる筈だが、原発と原爆はエネルギー解放のやりかたが
違うだけで、基本的には同じものだという認識がいまいち
薄いように思える。
当時私は現地にいなかったので進行手続きの詳細は分らぬ
が、地元住民は原発のカラクリが良く分らぬまま、原発側
とその賛成派シンパの説得運動や、各家庭に配られた一戸
当たり数万円の賛助報奨金につられ、また県や市を巻き
込んだ行政側は、降って湧いた賛助金景気の予感に舞い
上がり、さしたる反対もなく、むしろ歓迎ムードの中で物事は進行していったようだ。
福島原発その他の原発現場でも、多分似たような利益誘導型の経過を経て来たものと
思われる。
原発の功罪については、考え方の違いもあり、賛否意見の分かれるところであるが、
原発絶対反対の立場から、あえて独断偏見の誹りを恐れず、舌足らずの私見を述べて
みたい。
１．
原発装置の安全神話は、今回の福島原発事故で完全に崩れた。絶対安全と胸を張った
実体が、こんなものであったのかと、唖然とするばかりである。
総量は、海側に流れた分も合せると膨大なものだ。一つ対応を間違えれば、北陸のみ
ならず、東京を含む関東一円を巻き込んだ大惨事となるところであった。
原発建設や再稼働に際しては、原発所在地の市町村長や県知事の許認可だけが要件で
あり、狭い地域への集中的補助金ばらまきにより、建設側に都合良く、安易に処理
されているように思える。農産物、海産物等を介しての影響は多かれ少なかれ日本
全国にも及んでいるし、影響する範囲の広大さを考えると、どう進めるかは別として、
原発所在地だけの限られた地方問題ではなく、全国的な許可条件とすべきではなか
ろうか。限られた一部の市町村長だけに任せるには、被害の範囲が広すぎる。
２． 突然降って湧いた巨額の補助金は、地方行政組織の健全性を、失わせてしまう弊害を
生む。
見るべき産業もなく、貧しい小さな町に、突然巨額の持参金つきで原発がやって来て、
街には不似合いな公民館や体育館、図書館等の箱物が出現し、公共事業も盛大に拡大
され、市役所の規模も予算も膨れ上った。放射能廃棄物の保管所となっている青森
県下の北半島もそうだったし、原発が立地する所はいずれも多かれ少なかれ同じ状況
であろう。
市町村の財政や雇用が原発頼み、補助金依存型の体質と変貌し、急には後戻りでき
なくなる。女川原発で、真っ先に原発再稼働に賛成したのは、地元市町村であった
ことがこの事情をよく表していよう。事故が起れば一番の被害者になる者が、先ず
目先の必要に急かされて、再開賛成する姿は哀れである。
３．原発から排出される燃えカスを含む大量の放射性物質や、廃炉処分して出てくる
高濃度汚染物質を、いかに廃棄処理するかは未だ目途すらつかない状態のままだ。
ロケットに乗せて宇宙に打ち出す案、等々いずれもオビタスキで具体化の目途は
立っていない。
放射能半減期は、セシウム１３７が
ニウム２３９ではナンと２４万年と言う。これは放射能が半分になる期間であり、
この後もゼロになるわけではない。廃棄物が非常に危険なものであるとの認識はあり
ながら、また溜まるまま放置すれば将来に禍根を残すことが分っていながら、世界中
が知らぬ顔で運転を続けている現実をどう理解したらよいのだろうか。
４. 原発事故によりまき散らされた放射能は、生き物の遺伝子に傷をつけ、癌や細胞の
奇形化を引き起すことから、今後時間をかけた長期の観察が必要である。
ロシアのチェルノブイリでは、子供の甲状腺異常多発が報告されているが、近隣
住民を退避させ、コンクリートの石棺でフタをして放置していると言う。もし、
何でも穴を掘って埋めてしまい知らん顔する隣国で放射能事故が発生したら、偏西風
で運ばれた放射能で知らぬ間に日本中が汚染、全滅させられることもありえよう。
ゾッとする話だが、あながち架空の話ばかりとは言えないのだ。
５. 原発は常時冷却する必要があり、その冷却水の取水排水の為、多くが沿海部、もしくは
大河流域に位置し、常時ツナミの危険に曝されている。
福島原発事故の引き金は、地震に起因するツナミであったが、ツナミの原因は地震
ばかりではない。一番危険なのは、隕石の海面衝突によるツナミで、隕石の大きさや
衝突入射角度にもよるが、高さ１００メートル超のツナミ発生もあり得ると言う。
恐竜が死滅するほどの大きな隕石衝突は確率的には小さいだろうが、一度発生すると
沿海型原発の殆どが破壊されるのみならず、給電設備や発電所そのものが軒並み破壊
され、福島型メルトダウン垂れ流しだらけになってしまう。結果、爆発飛散した
放射能で世界中が汚染され、人類滅亡を迎えることもあり得よう。確率は低くても
一度起ればそれでオシマイ、人類の終幕となり得るのだ。
放射能事故は人類の手出しを拒絶する為、手の付けられぬ連鎖型事故が発生、拡散
すると、どこにも逃げようがなくなるのが恐ろしい。
道は遠くても、広島長崎、また福島の経験を持つ日本が、核弄り廃絶の旗振りを
やらねばならぬ。
こんな時に、アベ総理が原発輸出の旗振りをやると言う。これまたどうしたことか。
６. 原発推進派は電力コストの問題、ひいては諸外国との産業競争力の問題を主張する。
原発電力コストを設備・運営のコストだけに絞れば、確かに原発電力のコストは
見かけ上安くなる。但し、福島事故で明らかになったように、マンモス会社である
東京電力が傾くほどの事故対応費用や、手厚い安全対策、廃棄物を含む廃炉の処理費、
等々を電力原価にキチンと算入すれば、原発電力は決して安く無い筈だ。
また事故が起これば大勢の人が命を失い、放射能後遺症に苦しみ、また住み慣れた家を追われ
故郷を失う。
これらを一体ナンボと算入するのか。
ドイツでは既に原発全廃に踏み切り、自然エネルギーへ向け大きく舵をきった。
人類の叡智を示す非常に大きな勇気ある決断であり、現在の技術水準をもってすれば、この
転換は十分可能である。
日本もこれに続き、ドイツと共に原発廃止運動の旗振りを展開すべき、まさにその時であると
考える。
トランジスターの出現以来、ここ半世紀ばかりのコンピューターの発達が著しい。
いずれ近い将来、コンピューターが意思と判断力を持つようになったり、ゲノム解読が
究極まで進んだ結果、細胞老化が防止され、不老不死が実現するかも知れぬ。
問題は人間のモラルがこれに追いつかぬことで、原水爆の廃止はおろか、原発の廃止すら
できないでいる。
以上／ Ｈ２５－０３－１１
